“仙人”ではなく、“人間”熊谷守一の真の像《リアル》に迫る
明治・大正・昭和を貫く97年の生涯と、70年を超える画業を全うした画人・熊谷守一 (1880―1977) 。
単純な形態と明瞭な色彩を特徴とする画風「モリカズ様式」は、今なお新しく、人々を魅了し続けている。一方で、特徴的な風貌と無欲な人柄、語り継がれたエピソードから、「画壇の仙人」「超俗の画家」など世俗から離れたイメージが独り歩きし、作品そのものへの評価と混同されることもある。
そこで本書では、「仙人・熊谷」ではなく、「人間・熊谷」として、どのような人生を送り、どのように絵と向き合ったのか、画人・熊谷守一の真の像を改めて見つめ直す。
画業をたどるうえで欠かせない代表作と、近年になって所在が明らかになった逸品などを中心とした油彩画・日本画・書の約200点に、充実した「作品解説」、読み応えのある「評伝年譜」、各界からの「エッセイ」を収録。
「生誕140周年 熊谷守一展 わたしはわたし」公式図録兼書籍。
<目次>
わたしはわたし
第一章 人生をたどる
自分は自分 (生い立ち)
研鑽をつむ (東京美術学校)
豊富な経験と知識 (卒業~帰郷)
自分を出す (再上京)
「いのち」が欲しい (家族)
人との付き合い (交友)
第二章 絵をひもとく
「描く」は「見る」
「境目」を拾う
日本画との交差
ものの見方
かたちの対比と構成
第三章 こだわりを楽しむ
生きもの
音楽
自然のいとなみ
日常の暮らし
気ままに生き 気ままに描く
エッセイ
熊谷守一のエロティシズム / 横尾忠則 (美術家)
物の「素形」 / 土屋禮一 (日本画家)
音楽家から見た熊谷守一 / 舘野泉 (ピアニスト)
日々変化する庭と向き合って / 沖田修一 (映画監督)
熊谷守一 宵月 / 高畑勲 (アニメーション映画監督)
熊谷守一さんの書が好きです / 桂南光 (噺家)
熊谷守一評伝年譜 福井淳子編
作品リスト
著 / 熊谷守一
【展覧会情報】
「生誕140周年 熊谷守一展 わたしはわたし」
◆熊谷守一 (くまがいもりかず)
1880年岐阜県に生まれる。
裕福ながら複雑な家庭に育ち、のち家の没落にあう。
東京美術学校西洋画科選科を首席で卒業。同級生に青木繁がいた。
実母の死を契機に30代の6年間を郷里で暮らし、山奥で伐採した木を川流しで搬送する日傭 (ヒヨウ) の仕事を体験する。
1938年頃より、輪郭線と平面による独特な表現に移行し、近代日本洋画に超然たる画風を築く。
自然に近い暮らしぶりとその風貌、生き様、作品、書などが多くの文化人を魅了する。
87歳のとき文化勲章の内定を辞退。
俗世の価値観を超越した自由な精神で、ただ自由に自分の時間を楽しむことだけを願った生涯だった。
1977年、97歳で亡くなる。
自宅跡は豊島区立熊谷守一美術館となる。
2015年9月、郷里の岐阜県中津川市付知町に熊谷守一つけち記念館が開館。
サイズ / ページ数
A5判 上製本 248頁 (図版200点)