写真家・六田知弘による、運慶写真集の決定版!
本書では、長年、国内外の仏教美術撮影を多く手掛けてきた六田知弘による、運慶作あるいは運慶工房によるものと考えられる作品群、そして父・康慶、息子・康弁の作も含めた97点を、モノクロームの3色印刷を主に展開し、その狭間に色刷りを挟み込んだ。モノクロトリプルトーンでの美しい墨色の表現世界と、覚醒するかのような色彩による光を堪能できる。
また、表紙から始まり随所に掲載した部分拡大からは、表情の深みや動きの緊張感が驚くほど伝わり、そうした部分に込められた濃厚なエネルギーが凝縮され、一体の像を成立させていることが解る。それが運慶の仏師としての力量によるものであり、運慶仏の魅力であるのは言うまでもないが、六田は撮影することで、肉眼では捉えきれない、運慶仏が発する目に見えないものを捉えようとしてきた。それは運慶自身が放ち、その手で生み出した像にも宿る「気」のようなものであると考える。
本書では抑えた色彩と大胆なトリミングの作用によって、運慶からの「気」を立ち上らせるような一冊を目指した。
重量感のある運慶仏群を、あえて並製のタイトで柔らかな本に纏め、スタイリッシュで新たな運慶の世界として発信する。
サイズ
A4変型 並製本 160頁(図版97点)