ほら、また明るくなり始めた。
わたしたちの目の前が。
わたしたちの目をくらますようにして。
最新作ポスター付!
大巻伸嗣は、空間と時間を抽出して体感させるような壮大なインスタレーションはもとより、多くの人々と協働して場を変容させるアート・プロジェクトや舞台芸術にも、その優れた資質を発揮してきた。光と闇を重要な要素とする大巻の空間は、天体のリズムにしたがった始原的な生の感覚に満ちている。また、動植物や風景を象った装飾的なイメージは、古来人間の生活とともにあった豊かな文様の世界を想起させる。「存在するとはいかなることか」を長年探究してきた大巻の創作には、自然の摂理、そして生と死という逃れようのないサイクルのなかで生きることへの、根源的な洞察が秘められている。
本書は、国立新美術館で行われる天井高8m、2000㎡にも及ぶ、柱の無い大きな展示室で開催される新作展の公式図録兼書籍。展覧会では大巻の代表的シリーズをかつてない規模に拡大した最新インスタレーションが公開される。本書では、同シリーズの近作を多数掲載し、最新作への大巻の軌跡をたどる。
また、展覧会では世界を揺るがせたパンデミックのさなかに制作が始められた映像が発表される。本書では、新作映像のスチールや、ドローイングなども掲載。身体と響きあうブックデザインで、大巻が創りあげる現代の総合芸術へと導く。国立新美術館展示の最新作ポスター付。
●日英併記
著/大巻伸嗣
監修/国立新美術館
【展覧会情報】
「大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ」
会場:国立新美術館 ≫
会期:2023年11月1日(水)~2023年12月25日(月)
※本書は本展の公式図録兼書籍です。
オフィシャルホームページ 大巻伸嗣 OFFICIAL WEB
◆大巻伸嗣(おおまきしんじ)
1971年岐阜県生まれ。現在、神奈川県を拠点に制作。
「存在」とは何かをテーマに大巻は、環境や他者といった外界、記憶や意識などの内界、そしてその境界にある身体の問題を探求してきた。大巻が生み出した空間で私たちは、外界と内界の相互作用や、時間と空間におけるその揺らぎを、身体的な感覚とともに多義的に経験する。
近年の主な個展に、「The Depth of Light」(2023年、A4 美術館、四川)、「地平線のゆくえ」(2023年、弘前れんが倉庫美術館)、「存在のざわめき」(2020年、関渡美術館、台北)、「存在の証明」(2012年、箱根彫刻の森美術館)など。「あいちトリエンナーレ」(2016年、愛知)ほか国内外の数多くの国際展にも参加してきた大巻は、近年、「Rain」(2023年、愛知県芸術劇場/新国立劇場)などの舞台芸術でも活躍している。
A4変型 並製本 156頁(図版約200点)