「絵には勇気がいる」
ピンクの帯に書かれた印象的な一言に惹かれてページをめくれば、そこには香川県丸亀市ゆかりの画家・猪熊弦一郎の半生が本人の言葉によって綴られています。
猪熊が生まれ、育った町の思い出。藤島武二やアンリ・マチスなど巨匠との出会い。世界中から芸術家の集まるパリやニューヨークでの発見、驚き。様々な環境で、多くの人々から刺激を受けた猪熊は、芸術家として未知なる自分の世界をひらくには常識を超えなければならず、それには勇気がいると考えるようになりました。
当時76歳の猪熊は、次のように記しています。
「自分が一番好きなことを、二十歳の時から五十七年の間続けて描いている。美術学校であれば十数回卒業したことになる。それでいてまだこれでいいと思う作品はできていないように思う。」
未知のものに向かって走り続けた猪熊の言葉が詰まった、貴重な一冊です。
1979年1月、日本経済新聞に連載していた文章が、一冊の本にまとめられています。
著者:猪熊弦一郎
発行:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館/公益財団法人ミモカ美術振興財団
◎丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
丸亀市の市制施行90周年の記念事業として、丸亀市ゆかりの画家・猪熊弦一郎の全面的な協力のもと1991年11月23日に開館しました。建築家の谷口吉生による美しい建築を丸亀駅前に構える当館は、猪熊本人から寄贈を受けた約2万点の猪熊作品を所蔵し、常設展で紹介するとともに、現代美術を中心とした企画展を開催しています。
サイズ
縦21cm×横14.8cm 134ページ