第72回では、光明皇后が病人に分け与えるために東大寺に献納された薬物が6件出陳されました。光明皇后は今日の病院にあたる施設を作るなど救済事業に尽力しましたが、薬物の献納もその一環と言え、『種々薬帳』にある六十種類の薬物のうち約四十種類が現在にも伝わっています。薬物は奈良時代における疫病との闘いを伝える品としても、注目されています。
今回は全59件の出陳品のうち4件が初出陳ですが、初出陳でないものの解説文も、過去の解説を全て見返し把握したうえでこれまで以上に情報豊かに書いています。最新の研究成果を踏まえた内容で正確に、でも難解ではない表現でいかに伝えていくか、図録制作における奈良博研究員の工夫と闘いにもご注目ください。
開催期間:令和2年(2020)10月24日~令和2年(2020)11月9日
会場:奈良国立博物館
サイズ
A4 144ページ